MathPC

半正定値行列から誘導される擬距離

or 上のベクトル空間とする.またには内積の条件うち (零ベクトル)のみを満たさない内積に似た関数が定まっているとする.この時,関数と定義すると,は擬距離(pseudometric)である. また、内積が定まっている場合はは距離(metric)である.(証明略)

Proof.


  1. 正値性(positive-definiteness)より自明.
    1’.
    正値性(positive-definiteness)よりが零ベクトルならば,であるので

  2. 線型性(Linearity)より

  3. 内積の条件からを除いた,性質を用いて三角不等式が示される.ただし、. 詳細は「基礎講義 線形代数学 二木昭人 p137-140」を参照. ゆえに,三角不等式にを代入すると,

`

次の半正定値対称行列 を定義する.このとき,は内積の条件のうち「」のみを満たさない関数である.

Proof. の対称性より内積の対称性(symmetry)、行列の線型性により内積に線型性(Linearity)、の半正定値性によって内積の正値性が示される.(詳細は略)

上に対称半正定値行列によって定まる関数を定義する.このとき,は擬距離(pseudometric)である.

Proof.

本題の証明に戻る. 上のベクトル空間であり, である.よっては擬距離(pseudometric).