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教科書

グラフィカルモデル 渡辺 有祐

1. 注意点

  • 3章ベイジアンネットワークの証明の補足は終了 2019/2/14

ただし,定理3.5の証明が教科書だと載っていなくてネットで調べても出てこなかったので,載せていな.なお,定理3.5については以下のスライドの定理3.4で証明の概要が載っているんですが,確率分布の具体的な構成方法もしくは存在の証明が載っていないので納得していません.

事前知識

  • 一般的なチェーンルール

証明の補足

2. 第3章 ベイジアンネットワーク

2.1. 定理3.2 (ベイジアンネットワークの因子分解)

Proofの補足

2つ目の不等式は条件付き独立性の性質の分離律から導かれる

Proof(3.23.1)

まず,教科書に載っている以下を示す

Proof. ただし, 2つ目の等式はから成り立つ.また3つ目の等式は終頂点に対応するから始頂点に向かって順に積分していくと示される. その際に一般的に条件付き確率についてであることを用いる.

次に上記を用いて以下を示す.

Proof. であるので, であることを示せば十分.

2.2. 補題3.3 ベイジアンネットワークの構成の証明の補足

本文中に出てくるである

(定理3.2の証明と同様の手法を用いる)

帰納法より

次に式(3.4)を頂点数に関する帰納法を用いて示す. であり, であるので,と定義すると, であり,両辺をで積分すると また,であり,帰納法の仮定を用いると

に対してもが成立するので(3.4)は成立.

(これ以降は証明で使わなかったが,証明に挑戦する過程で示せた主張とその証明)


続いて以下を示す.

トポロジカルソートに対応する全単射を (つまり, )とする.

また,任意のに対してと定義する.

このとき,に対して

Proof.

を満たすが存在したとする. より.一方で よりより矛盾


Nは終頂点より任意のに対して.また, の定義より であるので,

関数が存在し


次にであるときに,次式の2つ目の等号が成立することを示す. Proof. ゆえに, であることが示せれば十分であるので,以下でそれを示す.

2.3. 定理3.4 (d分離の導く条件付き独立性)の証明

Step1(可能な限り周辺化したグラフに問題を落とし込む)

頂点集合に含まれないものを終頂点の方から可能な限り周辺化したグラフに対して定理が成立すれば元のグラフでも定理が成立する.

Proof.

グラフ構造をもつベイジアンネットワークの確率分布関数をとすると,定理3.2より と表せる.ただし,とし2つ目の等号は終頂点から順に積分を行うことで得られる.

ゆえに 以上より,グラフ構造をもつベイジアンネットワークでが成立するとき上のベイジアンネットワークでも成立.

以下ではをもつベイジアンネットワークで定理が成立することを示す

Step2(を結ぶ無向路上で成立する性質)

を結ぶ任意の無向路上で(ii)を満たすが存在する.

(ii) はV構造ではなくが存在

Proof.

,のもとでd分離されているのでを結ぶ無向路はのもとでアクティブではない.よって,無向路上に頂点が存在して以下の(i)または(ii)が成立する.

(i) がV構造であり,

(ii) がV構造でなく

(i)がで成立したとすると,である.もしそうでないならとなり,最初に可能な限り周辺化を行ったことに矛盾する.仮に がとれたとするとd分離よりを結ぶ無向路もアクティブでないはずである.頂点からまではV構造でなくの元も存在しないことに注意するとからまでの頂点で(i)または(ii)が成立する.

からまでの頂点で(i)を満たしかつを満たすものが存在したとする.このときの無向路はアクティブではなく,から,からはV構造でなくの元も存在しないことから,の間の頂点で(i)または(ii)が成立する.上記の議論を繰り返すことでを結ぶ任意の無向路上で(ii)を満たすが存在することがわかる.

Step3(同時確率分布の分解)

次に証明のためにを以下で定義する.

の部分集合であって,任意のに対してを結ぶ無向路(trail)が存在し,全ての頂点上で(ii)を満たさない.

英語の方が分かりやすいのでついでに書いとく is the set of node that and a trail connecting and such that every node of the path does not satisfy (ii)

の部分集合であって,任意のに対してを結ぶ無向路(trail)が存在し,全ての頂点上で(ii)を満たさない.

任意のに対して

任意のに対して

Proof.

対称性より任意のに対してのみ示す.

が存在するとする.の定義よりが存在し,全ての頂点上で(ii)を満たさないを結ぶ無向路が存在する.同様に.の定義よりが存在し,全ての頂点上で(ii)を満たさないを結ぶ無向路が存在する.ゆえに任意の頂点において(ii)を満たさないを結ぶ無向路が存在することになり矛盾.

任意のに対して

任意のに対して

Proof.

対称性より「任意のに対して」のみを示せば十分.

が存在すると仮定する.の定義よりが存在し,全ての頂点上で(ii)を満たさないを結ぶ無向路が存在する.よって,の無向路を考えるとであることから,のいずれかが(ii)を満たすことになるがより(ii)を満たさない.ゆえに矛盾.

任意のに対して,

のみ示す.

対称性より上のみ示す. とする.

Proof.

が存在したとする.上記と同様の議論を行うことで, が存在し,全ての頂点において(ii)を満たさないが存在するので矛盾

Proof.

が存在したとする.の定義よりが存在し全ての頂点において(ii)を満たさない無向路が存在する.ゆえにとなるがこれはが共通部分を持たないことに矛盾.

任意のに対して

Proof.

対称性よりのみ示す.が存在したとすると.の定義よりが存在し全ての頂点において(ii)を満たさない無向路が存在する.ゆえにとなるがこれはが共通部分を持たないことに矛盾

上記と同様の議論からが示せるのでであり, となる実数値関数が存在することが示される.なお最後の等式は確率の積を以下のルールに従って分解することで得られる.

任意のに対してならばの項に追加.ならばの項に追加, かつならの項に追加.

Step4(同時確率分布の積の分解と条件付き確率の対応)

最後に以下を示す.

Proof.

仮定の両辺をで積分することで,実数値関数を用いて と表せる.この左辺をでそれぞれ積分することで が得られる.ゆえに ここで両辺をで積分すると より,ゆえにの両辺をで割ることで所望の結果が得られる.

3. 4章 マルコフ確率場

3.1. 定理4.2 (マルコフ性条件の関係 2.)

任意のクリーク(clique)または である.

ここでのcliqueはmaximal cliqueのことを指す.

Proof.

を示せば十分.() ()が成立すると仮定して矛盾を導く.

の定義よりが存在してに属する頂点のみを経由してに達する路が存在する.一方であり,クリークは完全グラフであるのでである.よってからに属する頂点のみを経由してに到達できるのでになる.これはに矛盾.ゆえに,が成立.も同様の議論によって示すことができる.

Proof.

$

と表せることに注意する.

であることに留意して両辺をに対して周辺化すると ゆえに, となり両辺をに対して順に周辺化すると, ゆえに,のときが成立する.よって より証明終了.

を満たすが存在したとする.この時の定義よりからへの路でに含まれない頂点のみを通るものが存在するが,これはを分離することに矛盾する.よってであり,仮定よりであるので

3.2. 定理4.3(Hammersley-Cllifordの定理)

基本的な証明はこちらを参照

上記の補足

Lemma 2.1 (Mbius Inversion Lemma)

for any non empty set, there are the same number of even and odd subsets

Proof.

Theorem 2.2 (Hammersley and Clifford)

であるので,であることに注意.

確率は全て正であるので,となるは存在しない

Theorem 2.2 (Hammersley and Clifford)

(2.15) (2.16)

Proof.

であることに注意して,

であることを示せば十分.

であることに注意すると,

Theorem 2.2 (Hammersley and Clifford)

(2.17) (2.18)

Proof.

3.3. 定理4.4(ベイジアンネットワークとマルコフ確率場) モラル化

確率変数族は有向非巡回グラフ上のベイジアンネットワークであるとする.このとき,各頂点同士を辺で結び有向枝を無向辺にしたグラフを考えるとはグラフに関して因子分解する.この操作をモラル化(moralization)という.

の構成方法により,任意のに対してはグラフ上で完全グラフである.よって,任意のに対してとなるようなクリークを1つ定めることができる.

ここで,グラフ上の任意のクリークに対してと定義すると,

3.4. 4.5 (例) ガウス型のマルコフ確率場

多変量正規分布について良さそうな教科書

確率変数ベクトル次元多変量正規分布に従っているとする.つまり確率密度関数は正定値行列は正定値行列とベクトルを用いて以下のように表されるとする.

この時,確率ベクトルの添字を以下のようにして並び替えることができる.

を任意の置換とする.,と定義すると,

(Proof.)

は置換であるのでからまで動く時からまで動くことに注意すると である.次に任意の正方行列に関してが成立することを示す.

一般的に(交代性)より以下が成立する.

言い換えると, 行列と定めるとである.

よって,行列, 行列,行列, 行列と定める.この時,行列式は転置しても値が変わらないことに注意すると の定義よりであるので証明終了.

多変量正規分布の条件付き確率(公式のみ)

多変量正規分布の分布関数の証明の補足

が正則であることの証明

(Proof)

一般に線形代数の定理で以下のようなものがある.

次エルミート行列に対し,次エルミート行列成分が成分となるように定める.この時が正値エルミート行列であるための必要十分条件はに対し,であることである.

が正定値エルミート行列であるからであり特に正則である.

多変量正規分布の分布関数の証明

主張(証明されていること)

確率変数ベクトル次元多変量正規分布に従っているとする.つまり確率密度関数は正定値行列は正定値行列とベクトルを用いて以下のように表されるとする.

また次元ベクトル次元ベクトル 次元ベクトル に分け,もそれに対応するように以下のように分割する.

このとき,の周辺分布は多変量正規分布であり, を与えたときのの条件付き分布は

である.

表記間違い(証明に影響なし)

4. Apendix

4.1. 定理A.1(条件付き独立性の性質 1.)

自力で証明出来るレベルなので行き詰まったらこちらを参考に

4.2. 命題A.2 (条件付き独立性の間違いやすい性質)

[命題 A.2(条件付き独立性の間違いやすい性質

Proof

具体的に判例を構成する.の値をとる2値の確率変数とする.十分に小さいに対して,と定義する.このとき,より, が成立する.一方で,よりは成立しない.

4.3. 定理A.3 (条件付き独立性の性質2:交差律(intersection))

なるについて,がすべてので成り立つとき,以下が成立する.

Proof.

仮定より, である.両辺にを掛けてに関して足しあげると よって,

Last modified by akirat1993 2019-05-26 02:56:51
Created by akirat1993 2019-05-26 02:56:51

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