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教科書
グラフィカルモデル 渡辺 有祐
1. 注意点
- 3章ベイジアンネットワークの証明の補足は終了 2019/2/14
ただし,定理3.5の証明が教科書だと載っていなくてネットで調べても出てこなかったので,載せていな.なお,定理3.5については以下のスライドの定理3.4で証明の概要が載っているんですが,確率分布の具体的な構成方法もしくは存在の証明が載っていないので納得していません.
事前知識
- 一般的なチェーンルール
P(A1,…,An)=P(An∣A1,…,An−1)P(An−1∣A1,…,An−2)⋯P(A2∣A1)P(A1)
証明の補足
2. 第3章 ベイジアンネットワーク
2.1. 定理3.2 (ベイジアンネットワークの因子分解)
Proofの補足
P(Xi∣XL(i))=P(Xi,XL(i))P(Xpa(i))⋅P(Xpa(i))P(XL(i))=P(Xi)P(Xpa(i))⋅P(XL(i))P(Xpa(i))⋅P(Xpa(i))P(XL(i))=P(Xi∣Xpa(i))
2つ目の不等式は条件付き独立性の性質の分離律から導かれる
Proof(3.2⇒3.1)
まず,教科書に載っている以下を示す
P(Xi,Xndes(i))=P(Xi∣Xpa(i))⋅∏j∈ndes(i)P(Xj∣Xpa(j))
Proof.
P(Xi,Xndes(i))=∫P(X)dXdes(i)=∫(∏j∈VP(Xj∣Xpa(j)))=P(Xi∣Xpa(i))⋅⎛⎝∏j∈ndes(i)P(Xj∣Xpa(j))⎞⎠⋅ ∫⎛⎝∏j∈des(i)P(Xj∣Xpa(j))⎞⎠dXdes(i)=P(Xi∣Xpa(i))⋅⎛⎝∏j∈ndes(i)P(Xj∣Xpa(j))⎞⎠
ただし, 2つ目の等式はj∉des(i)⇒pa(j)∩des(i)から成り立つ.また3つ目の等式は終頂点に対応するXから始頂点に向かって順に積分していくと示される. その際に一般的に条件付き確率について∫P(X∣Y)dX=1であることを用いる.
次に上記を用いて以下を示す.
P(Xi,Xndes(i)∣Xpa(i))=P(Xi∣Xpa(i))⋅P(Xndes(i)∣Xpa(i))
Proof.
(left)=P(Xi,Xndes(i),Xpa(i))P(Xpa(i))=P(Xi,Xndes(i))P(Xpa(i))∵pa(i)⊂ndes(i)=P(Xi∣Xpa(i))⋅⎛⎝∏j∈ndes(i)P(Xj∣Xpa(j))⎞⎠⋅1P(Xpa(i))
であるので,
∏j∈ndes(i)P(Xj∣Xpa(j))=P(Xndes(i),Xpa(i))
であることを示せば十分.
P(Xndes(i),Xpa(i))=P(Xndes(i))∵pa(i)⊂ndes(i)=∫P(X)dXdes(i)dXi=∏j∈ndes(i)P(Xj∣Xpa(j))
2.2. 補題3.3 ベイジアンネットワークの構成の証明の補足
本文中に出てくるqiはqi:Xi×{Xj}j∈pa(i)→R≥0である
(定理3.2の証明と同様の手法を用いる)
帰納法より
∫P(X)dX=∏i∈Vqi(Xi,Xpa(i))dX=∫⎛⎝∫qN(XN,Xpa(N)dXN⋅∏V∖{N}qi(Xi,Xpa(i)))⎞⎠dXV∖{N}∵N is ending vertex=∫∏V∖{N}qi(Xi,Xpa(i))dXV∖{N}∵definition of qi=∫P(XV∖{N})dXV∖{N}=1∵assumption of induction
次に式(3.4)を頂点数に関する帰納法を用いて示す.
P(X)=⎛⎝∏i∈V∖{N}qi(Xi,Xpa(i))⎞⎠⋅qN(XN,Xpa(N))
であり,
P(XV∖{N})=∫P(X)dXN=∫(∏i∈Vqi(Xi,Xpa(i)))dXN=∏i∈V∖{N}qi(Xi,Xpa(i))⋅∫qN(XN,Xpa(N))dXN∵∀i∈V,N∉pa(i)=∏i∈V∖{N}qi(Xi,Xpa(i))∵definition of qi
であるので,U:=V∖({N}∪pa (N))と定義すると,
P(X)=P(XV∖{N})⋅qN(XN,Xpa(N))=P(Xpa(N),XU)⋅qN(XN,Xpa(N))
であり,両辺をXUで積分すると
P(XN,Xpa(N))=qN(XN,Xpa(N))⋅P(Xpa(N))⇔P(XN∣Xpa(N))=qN(XN,Xpa(N))
また,P(XV∖{N})=∏i∈V∖{N}qi(Xi,Xpa(i))であり,帰納法の仮定を用いると
i∈V∖{N}に対してもP(Xi∣Xpa(i))=qi(Xi,Xpa(i))が成立するので(3.4)は成立.
(これ以降は証明で使わなかったが,証明に挑戦する過程で示せた主張とその証明)
続いて以下を示す.
トポロジカルソートに対応する全単射をn:V→V (つまり, (v0,v1)∈E⇒n(v0)<n(v1))とする.
また,任意のj∈Vに対してAj:={i∈V∣n(i)<n(j)}と定義する.
このとき,∀i∈Ajに対して j∉pa(i)
Proof.
j∈pa(i)を満たすi∈Ajが存在したとする. j∈pa(i)よりn(j)<n(i).一方でi∈Aj よりn(i)<n(j)より矛盾
P(X)=∏i∈Vqi(Xi,Xpa(i))=qN(XN,Xpa(N))∏i∈V∖{N}qi(Xi,Xpa(i))
Nは終頂点より任意のi∈Vに対してpa(i)∩{N}≠mptyset.また, Uの定義より U⊔pa(N)=V∖{N}であるので,
関数ϕ:XU×Xpa(N)→R≥0が存在し
qN(XN,Xpa(N))∏i∈V∖{N}qi(Xi,Xpa(i))=ϕ(XU,Xpa(N))qN(XN,Xpa(N))
次にXN⨿XU∣Xpa(N)であるときに,次式の2つ目の等号が成立することを示す.
∏i∈Vqi(Xi,Xpa(i))=P(X)=P(XN∣Xpa(N))⋅P(Xpa(N),XU)
Proof.
P(X)=P(XN,Xpa(N),XU)=P(XN∣Xpa(N))⋅P(Xpa(N),XU)⋅P(XN∣Xpa(N),XU)P(XN∣Xpa(N))
ゆえに, P(XN∣Xpa(N),XU)=P(XN∣Xpa(N))であることが示せれば十分であるので,以下でそれを示す.
2.3. 定理3.4 (d分離の導く条件付き独立性)の証明
Step1(可能な限り周辺化したグラフに問題を落とし込む)
頂点集合U,T,Wに含まれないものを終頂点の方から可能な限り周辺化したグラフ(V′,→E)に対して定理が成立すれば元のグラフでも定理が成立する.
Proof.
グラフ構造(V′,→E)をもつベイジアンネットワークの確率分布関数をP′とすると,定理3.2より
P′(X)=∏i∈V′P(i)=∫∏i∈VP(i)dXV∖V′=∫P(X)dXV∖V′
と表せる.ただし,P(i):=P(Xi∣Xpa(i))とし2つ目の等号は終頂点から順に積分を行うことで得られる.
ゆえに
P′(XU,XT,XW)=∫P′(X)dXV′∖(U∪T∪W)=∫(∫∏i∈VP(i)dXV∖V′)dXV′∖(U∪T∪W)=∫P(X)dXV∖(U∪T∪W)=P(XU,XT,XW)
以上より,グラフ構造(V′,→E′)をもつベイジアンネットワークでXU⨿XT∣XWが成立するとき(V,E)上のベイジアンネットワークでも成立. □
以下では(V′,→E′)をもつベイジアンネットワークで定理が成立することを示す
Step2(UとTを結ぶ無向路上で成立する性質)
u∈U,t∈Tを結ぶ任意の無向路上で(ii)を満たすr∈Wが存在する.
(ii) rはV構造ではなくr∈Wが存在
Proof.
U,TがWのもとでd分離されているのでu,tを結ぶ無向路はWのもとでアクティブではない.よって,無向路上に頂点rが存在して以下の(i)または(ii)が成立する.
(i) rがV構造であり,{r}∪des(r)∩W=∅
(ii) rがV構造でなくr∈W
(i)がrで成立したとすると,({r}∪des(r))∩(U∪T)≠∅である.もしそうでないなら({r}∪des(r))∩(U∪T∪W)=∅となり,最初に可能な限り周辺化を行ったことに矛盾する.仮にu′∈({r}∪des(r))∩U がとれたとするとd分離よりu′とtを結ぶ無向路もアクティブでないはずである.頂点vからu′まではV構造でなくWの元も存在しないことに注意するとrからtまでの頂点r′(≠r)で(i)または(ii)が成立する.
rからtまでの頂点r′で(i)を満たしかつt′∈({r′}∪des(r′))∩Tを満たすものが存在したとする.このときu′→r→r′→t′の無向路はアクティブではなく,u′からr,r′からt′はV構造でなくWの元も存在しないことから,rとr′の間の頂点r′′(≠r,r′)で(i)または(ii)が成立する.上記の議論を繰り返すことでu∈Uとt∈Tを結ぶ任意の無向路上で(ii)を満たすr∈Wが存在することがわかる.
Step3(同時確率分布の分解)
次に証明のためにU⊂~U,T⊂~T,S⊂V′を以下で定義する.
~UはV′∖Wの部分集合であって,任意のv∈~Uに対してu∈Uとvを結ぶ無向路(trail)が存在し,全ての頂点上で(ii)を満たさない.
英語の方が分かりやすいのでついでに書いとく
~U is the set of node v∈V′∖W that ∃u∈U and a trail connecting u and v such that every node of the path does not satisfy (ii)
~TはV′∖Wの部分集合であって,任意のv∈~Tに対してt∈Tとvを結ぶ無向路(trail)が存在し,全ての頂点上で(ii)を満たさない.
S≡V′∖(~U∪~T∪W)
任意の~u∈~Uに対してpa(~u)∩~T=∅
任意の~t∈~Tに対してpa(~t)∩~U=∅
Proof.
対称性より任意の~u∈~Uに対してpa(~u)∩~T=∅のみ示す.
~t∈pa(~u)∩~Tが存在するとする.~Tの定義よりt∈Tが存在し,全ての頂点上で(ii)を満たさないtと~tを結ぶ無向路が存在する.同様に.~Uの定義よりu∈Uが存在し,全ての頂点上で(ii)を満たさないuと~uを結ぶ無向路が存在する.ゆえに任意の頂点において(ii)を満たさないuとtを結ぶ無向路が存在することになり矛盾.
任意の~u∈~Uに対してpa(~u)∩S=∅
任意の~t∈~Tに対してpa(~t)∩S=∅
Proof.
対称性より「任意の~u∈~Uに対してpa(~u)∩S=∅」のみを示せば十分.
s∈pa(~u)∩Sが存在すると仮定する.~Uの定義よりu∈Uが存在し,全ての頂点上で(ii)を満たさないuと~uを結ぶ無向路が存在する.よって,u→~u→sの無向路を考えるとs∉~Uであることから,~u,~sのいずれかが(ii)を満たすことになるが~u,s∉Wより(ii)を満たさない.ゆえに矛盾.
任意のw∈Wに対して,
pa(w)∩~U≠∅⇒pa(w)∩~T=∅,pa(w)∩S=∅pa(w)∩~T≠∅⇒pa(w)∩~U=∅,pa(w)∩S=∅
のみ示す.
対称性より上のみ示す. ~u∈pa(w)∩~Uとする.
Proof. pa(w)∩~T=∅
~t∈pa(w)∩~Tが存在したとする.上記と同様の議論を行うことでu∈U, t∈Tが存在し,全ての頂点において(ii)を満たさないu→~u→w→~t→tが存在するので矛盾
Proof. pa(w)∩S=∅
s∈pa(w)∩Sが存在したとする.~Uの定義よりu∈Uが存在し全ての頂点において(ii)を満たさない無向路u→~u→w→s(∉W)が存在する.ゆえにs∈~UとなるがこれはSと~Uが共通部分を持たないことに矛盾.
任意のs∈Sに対して
pa(s)∩~U=∅,pa(s)∩~T=∅
Proof.
対称性よりpa(s)∩~U=∅のみ示す.~u∈pa(s)∩~Uが存在したとすると.~Uの定義よりu∈Uが存在し全ての頂点において(ii)を満たさない無向路u→~u→s(∉W)が存在する.ゆえにs∈~UとなるがこれはSと~Uが共通部分を持たないことに矛盾 □
上記と同様の議論から~U∩~T=∅が示せるのでV′=~U⊔~T⊔W⊔Sであり,
P(X~U,X~T,XW,XS)=P(V′)=∏i∈V′P(Xi∣Xpa(i))=ϕ1(X~U,XW)ϕ2(X~T,XW)ϕ3(XS,XW)
となる実数値関数ϕi(i=1,2,3)が存在することが示される.なお最後の等式は確率の積を以下のルールに従って分解することで得られる.
任意のi∈V′に対してi∈~UならばP(Xi∣Xpa(i))をϕ1(X~U,XW)の項に追加.i∈Sならばϕ3(XS,XW)の項に追加, i∈Wかつpa(i)∩~U≠∅ならϕ1(X~U,XW)の項に追加.
Step4(同時確率分布の積の分解と条件付き確率の対応)
最後に以下を示す.
P(X~U,X~T,XW,XS)=ϕ1(X~U,XW)ϕ2(X~T,XW)ϕ3(XS,XW)⇒X~U⨿X~T∣XW
Proof.
仮定の両辺をXSで積分することで,実数値関数ϕ4:XW→R≥0を用いて
P(X~U,X~T,XW)=ϕ1(X~U,XW)ϕ2(X~T,XW)ϕ4(XW)
と表せる.この左辺をX~TとX~Uでそれぞれ積分することで
P(X~U,XW)=ϕ1(X~U,XW)ϕ5(XW)ϕ4(XW)P(X~T,XW)=ϕ6(XW)ϕ2(X~T,XW)ϕ4(XW)
が得られる.ゆえに
P(X~U,X~T,XW)=P(X~U,XW)P(X~T,XW)⋅1ϕ4(XW)ϕ5(XW)ϕ6(XW)=P(X~U,XW)P(X~T,XW)⋅1ϕ7(XW)
ここで両辺をX~Tで積分すると
P(X~U,XW)=P(X~U,XW)⋅P(XW)ϕ7(XW)
よりϕ7(XW)=P(XW),ゆえにP(X~U,X~T,XW)の両辺をP(XW)で割ることで所望の結果が得られる.
3. 4章 マルコフ確率場
3.1. 定理4.2 (マルコフ性条件の関係 2.)
任意のクリーク(clique)Cは C⊂~A∪Sまたは C⊂~B∪Sである.
ここでのcliqueはmaximal cliqueのことを指す.
Proof.
∃~a∈~A,~a∈C⇒c∉~B(∀c∈C)
∃~b∈~B,~b∈C⇒c∉~A(∀c∈C)
を示せば十分.(∃~a∈~A,~a∈C) ∧ (∃c∈C,c∈~B)が成立すると仮定して矛盾を導く.
~Aの定義よりa∈Aが存在してV∖Sに属する頂点のみを経由して~aに達する路が存在する.一方c∈~B=V∖(~A∪S)⊂Vであり,クリークは完全グラフであるので~ac∈Eである.よってaからV∖Sに属する頂点のみを経由して~cに到達できるのでc∈~Aになる.これはc∈~B=V∖(~A∪S)に矛盾.ゆえに,∃~a∈~A,~a∈C⇒c∉~B(∀c∈C)が成立.∃~b∈~B,~b∈C⇒c∉~A(∀c∈C)も同様の議論によって示すことができる.
X~A⊥⊥X~B∣XS
Proof.
$P(XV)=1Z∏C:cliqueϕC(XC)=1Z∏C⊂~A∪SϕC(XC)∏C⊂~B∪SϕC(XC)=ϕ1(X~A,XS)ϕ2(X~B,XS)$
と表せることに注意する.
V=~A⊔~B⊔Sであることに留意して両辺を~A,~Bに対して周辺化すると
P(X~B,XS)=ϕ3(XS)ϕ2(X~B,XS)P(X~A,XS)=ϕ1(X~A,XS)ϕ4(XS)
ゆえに,
P(XV)ϕ3(XS)ϕ4(XS)=P(X~A,XS)P(X~B,XS)
となり両辺を~A,~Bに対して順に周辺化すると,
P(XS)ϕ3(XS)ϕ4(XS)=P(XS)2
ゆえに,P(XS)>0のときP(XS)=ϕ3(XS)ϕ4(XS)が成立する.よって
P(XV)P(XS)=P(X~A,XS)P(X~B,XS)
より証明終了.
B⊂~B
b∈~Aを満たすb∈Bが存在したとする.この時~Aの定義よりAからbへの路でSに含まれない頂点のみを通るものが存在するが,これはSがAとBを分離することに矛盾する.よってb∈B⇒b∉~Aであり,仮定よりb∈B⇒b∉Sであるのでb∈B⇒b∈V∖(S∪~A)=~B
3.2. 定理4.3(Hammersley-Cllifordの定理)
基本的な証明はこちらを参照
上記の補足
Lemma 2.1 (M¨obius Inversion Lemma)
for any non empty set, there are the same number of even and odd subsets
Proof.
n∑k(−1)k(nk)=n∑k1n−k(−1)k(nk)=(1+(−1))n
Theorem 2.2 (Hammersley and Clifford)
α,β∈a,c=a∖{α,β},b:b⊆cであるので,|a∖b|≥2であることに注意.
確率は全て正であるので,f(x)=1となるxは存在しない
Theorem 2.2 (Hammersley and Clifford)
(2.15) ⇒ (2.16) f(xα∣xβ,xb,x∗d∖b)=f(xα∣xb,x∗d∖b)
Proof.
d=V∖{a,b}であることに注意して,
f(xα∣xβ,xd)=f(xα∣xd)であることを示せば十分.
xα⊥⊥xβ∣xdであることに注意すると,
f(xα∣xβ,xd)=f(xα,xβ,xd)f(xβ,xd)=f(xα,xβ,xd)f(xd)f(xd)f(xβ,xd)=f(xα,xd)f(xd)f(xβ,xd)f(xd)f(xd)f(xβ,xd)=f(xα∣xd)
Theorem 2.2 (Hammersley and Clifford)
(2.17) ⇒ (2.18)
f(x∗α∣xb,x∗d∖b)f(xβ,xb,x∗d∖b)=f(xb,xβ,xα,x∗d∖b)
Proof.
f(xβ,x∗d∖b,xb,x∗α)=f(x∗α∣xβ,x∗d∖b,xb)f(xb,xβ,x∗d∖b)=f(x∗α∣x∗d∖b,xb)f(xb,xβ,x∗d∖b)
3.3. 定理4.4(ベイジアンネットワークとマルコフ確率場) モラル化
確率変数族X={Xv}v∈Vは有向非巡回グラフG=(V,→E)上のベイジアンネットワークであるとする.このとき,各頂点v∈Vでu,u′∈pa(v)同士を辺で結び有向枝を無向辺にしたグラフG′=(V,E)を考えると{Xv}v∈VはグラフG′に関して因子分解する.この操作をモラル化(moralization)という.
Eの構成方法により,任意のv∈Vに対して{v}∪pa(v)はグラフG′上で完全グラフである.よって,任意のv∈Vに対して{v}∪pa(v)⊂CvとなるようなクリークCvを1つ定めることができる.
ここで,グラフG′上の任意のクリークCに対してϕC(Xc):=∏v∈V,Cv=CP(Xv∣Xpa(v))と定義すると,
P(X)=∏v∈VP(Xv∣Xpa(v))=∏C:cliqueϕC(Xc)
3.4. 4.5 (例) ガウス型のマルコフ確率場
多変量正規分布について良さそうな教科書
確率変数ベクトルxがn次元多変量正規分布に従っているとする.つまり確率密度関数は正定値行列は正定値行列Σとベクトルμを用いて以下のように表されるとする.
f(x)=1(√2π)n√|Σ|exp(−12(x−μ)TΣ−1(x−μ))
この時,確率ベクトルの添字を以下のようにして並び替えることができる.
τを任意の置換とする.xτ:=(xτ(1),⋯,xτ(n)),Σ−1τを(Σ−1τ)ij=(Σ−1)τ(i)τ(j)と定義すると,
f(x)=√|Σ−1τ|(√2π)nexp(−12(xτ−μτ)TΣ−1τ(xτ−μτ))
(Proof.)
τは置換であるのでiが1からnまで動く時τ(i)も1からnまで動くことに注意すると
(x−μ)TΣ−1(x−μ)=∑1≤i≤n(∑1≤j≤n(xi−μi)Σ−1ij(xj−μj))=∑1≤i≤n(∑1≤j≤n(xτ(i)−μτ(i))Σ−1τ(i)τ(j)(xτ(j)−μτ(j)))=(xτ−μτ)TΣ−1τ(xτ−μτ)
である.次に任意の正方行列Aに関して|Aτ|=|A|が成立することを示す.
一般的に(交代性)より以下が成立する.
det(aτ(1),⋯,aτ(n))=sgn(τ)det(a1,⋯,an)
言い換えると, 行列Bをbij=ai,τ(j)と定めると|B|=sgn(τ)|A|である.
よって,行列Bをbij=aji, 行列Cをcij=biτ(j)=aτ(j)i,行列Dをdij=cji=aτ(i)j, 行列Eをeij=diτ(j)=aτ(i)τ(j)と定める.この時,行列式は転置しても値が変わらないことに注意すると
|E|=sgn(τ)|D|=sgn(τ)|C|=sgn2(τ)|B|=|A|
Eの定義よりE=Aτであるので証明終了.
多変量正規分布の条件付き確率(公式のみ)
多変量正規分布の分布関数の証明の補足
Σ11が正則であることの証明
(Proof)
一般に線形代数の定理で以下のようなものがある.
n次エルミート行列Aに対し,k次エルミート行列Akを(i,j)成分がAの(i,j)成分となるように定める.この時Aが正値エルミート行列であるための必要十分条件はk=1,…,nに対し,|Ak|>0であることである.
Σが正定値エルミート行列であるから|Σ11|>0であり特に正則である.
多変量正規分布の分布関数の証明
主張(証明されていること)
確率変数ベクトルxがn次元多変量正規分布に従っているとする.つまり確率密度関数は正定値行列は正定値行列Σとベクトルμを用いて以下のように表されるとする.
f(x)=1(√2π)n√|Σ|exp(−12(x−μ)TΣ−1(x−μ))
またn次元ベクトルxをp次元ベクトル x(1)とq次元ベクトル x(2)に分け,Σもそれに対応するように以下のように分割する.
x=(x(1)x(2)),Σ=(Σ11Σ12Σ21Σ22)
このとき,x(1)の周辺分布は多変量正規分布Np(μ(1),Σ11)であり, x(1)を与えたときのx(2)の条件付き分布は
x(2)∣x(1)∼Nq(μ(2)+Σ21Σ−111(x(1)−μ(1)),Σ22−Σ21Σ−111Σ12)
である.
表記間違い(証明に影響なし)
υ2=μ(2)+Σ21Σ−111(x(1)−μ(1))
4. Apendix
4.1. 定理A.1(条件付き独立性の性質 1.)
自力で証明出来るレベルなので行き詰まったらこちらを参考に
4.2. 命題A.2 (条件付き独立性の間違いやすい性質)
[命題 A.2(条件付き独立性の間違いやすい性質
X⊥⊥Y1∣Z,X⊥⊥Y2⇏X⊥⊥(Y1,Y2)∣Z
Proof
具体的に判例を構成する.X,Y1,Y2を±1の値をとる2値の確率変数とする.十分に小さいϵ>0に対して,P(X=x,Y1=y1,Y2=y2)=18+ϵxy1y2と定義する.このとき,P(X,Yi)=1/4より, X⊥⊥Yiが成立する.一方でP(X)=1/2,P(Y1,Y2)=1/4よりX⊥⊥(Y1,Y2)∣Zは成立しない.
4.3. 定理A.3 (条件付き独立性の性質2:交差律(intersection))
p(z)>0なるzについて,p(y,w∣z)>0がすべてのy,wで成り立つとき,以下が成立する.
X⊥⊥W∣(Z,Y)∧X⊥⊥Y∣(Z,W)⇒X⊥⊥(Y,W)∣Z
Proof.
仮定より,
P(X∣(Z,Y))P(W,(Z,Y))=P(X,Y,Z,W)=P(X∣(Z,W))P(Y,(Z,W))
である.両辺にP(Z,Y)P(Z,W)/P((Z,W),Y)を掛けてWに関して足しあげると
∫P(X,Z,Y)P(Z,W)dw=∫P(X,Z,W)P(Z,Y)dw⇔P(X,Y,Z)P(Z)=P(X,Z)P(Z,Y)
よって,
P(X,Y,Z,W)=P(X,(Z,Y))P(W∣(Z,Y))=P(X,Z)P(Z,Y)P(Z)P(Y,W,Z)P(Z,Y)=P(X∣Z)P((Y,W),Z)
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