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2×2行列の分類
同期が教えてくれたものを一部修正
以下 とする。 の固有多項式は、その判別式は
0.0.1. K>0のとき
相異なる2つの固有値をとする。
に対する固有ベクトルを1つとりとすると、これは実ベクトルである。
についても同様であるから、によって座標を取り直すと となって、が両軸方向への引き伸ばしを表していることがわかる。
0.0.2. K=0のとき
固有値はただ一つである。
のランクが0のとき
であるから、は両軸方向に倍する写像を表す。
のランクが1のとき
とおくと である。よりであるから、 である。
したがって、の解のうちとなるものを1つとりとし、
とおくと、はの基底をなし、
- より.
- より.
となる。したがっては、
- 方向成分を方向にシフトする。
- 方向成分をなくす。
という変換を表す。
なので、 は上記のシフト変換+縦横の倍、と理解することができる。
0.0.3. K<0のとき
$A$の固有値のひとつをとする。
に対応する固有ベクトルの1つを とすると、 であるから、実部と虚部を比較して
が成り立つ。したがって 基底をに取り替えると(が一次独立であることは最後に示す)、は に置き換わる。これは
- の拡大
- を満たす角度$\theta$の回転
の変換を表す。
なお、基底の置き換えについては行列の相似を参照して下さい。
最後にとが一次独立であることを示す。
となるを1つとった時にと定義した時にとは上一次独立であることを示す。より両辺の複素共役をとることでとなるのではの固有値、はそれに対応する固有ベクトルとなる。判別式は負であるので、固有値は実数でないのでであり、異なる固有値に対応する固有空間は直和であるのでとなる。であるのでとなるのでは上一次独立。
その他の証明
ならばであるのでとなる。この時、固有ベクトルとなり矛盾する。ゆえにである。同様にしてと仮定するととなってしまうのでである。
よって、とが一次従属だと仮定すると、が存在しと表せる。この時
でありであることから右辺同士の係数を比較しとなるので、であることに注意するととなるので矛盾。よって、は1次独立。
行列の相似
行列の相似が何を表しているのかを考えてみる。
(つまり、ジョルダン標準形が一致している行列同士の関係性について考えてみる)
などの有限次元ベクトル空間には基底が存在するが、その基底を任意に1つ固定する。
この時、空間上の点と基底の係数の組は1対1で対応している(基底の定義)。
例えばのという点についてはと標準基底をとると、と一意に表すことが出来て、を基底としてとるとと一意に表すことが出来る.ゆえに、を の基底に対する係数の組の空間と同一視することができて、例えばの空間上のは係数の組の空間上の点に対応する。
今、は相似であるとする。つまり、正則行列が存在してが成立しているとする。と表現するとは正則なのではの基底となる。この時 であるので1次変換を ($A'$の列目)と定義すると、
はをの基底に対する係数の組の空間と見た時に1次変換を表し、
はをの基底に対する係数の組の空間と見た時に1次変換を表す。
(同じ一次変換で表せていることに注意、またもう少し詳しい内容を最後に補足として示す)
つまり、行列が相似(より一般に1次変換における表現行列一致している)ということは
基底を適切に取り替えることで、ベクトル空間を基底に関する係数の組の空間と見たときに、行列の変換を一致させることが出来るということである
0.1. 補足
はをの基底に対する係数の組の空間と見た時に1次変換を表すことを詳しく説明する。
上の任意の元はの線形結合で表せるので、から任意に元を1つとってとする。この時、この元は係数の組の空間として見た時にはとなる。この時の定義より、 となる。一方で上記の計算より であるので、 ゆえに、を係数の組の空間として見た時には となりこれはと一致する。