[TOC]
1. 定義
1.1. 各点収束
Def(各点収束)
S:集合, (M,d):距離空間,任意のn∈N>0に対してfn:S→Mとする.
このとき関数列{fn}∞n=1がf:S→Mに各点収束するとは,
任意のx∈Sに対して,
limn→∞fn(x)=f(x)
が成立することをいう.
すなわち任意のx∈Sとϵ>0に対して,N∈N>0が存在して
n>N⇒d(fn(x),f(x))<ϵ
が成立することをいう.
また,単に関数列{fn}∞n=1が各点収束するとは
関数f:S→Mが存在して{fn}∞n=1がfに各点収束することをいう.
1.2. 一様収束
Def(一様収束)
S:集合, (M,d):距離空間,任意のn∈N>0に対してfn:S→Mとする.
このとき関数列{fn}∞n=1がf:S→Mに一様収束するとは,
任意のϵ>0に対しN∈N>0が存在し
x∈S,n>N⇒d(fn(x),f(x))<ϵ
が成立することをいう.
また,単に関数列{fn}∞n=1が一様収束するとは
関数f:S→Mが存在して{fn}∞n=1がfに一様収束することをいう.
1.3. 絶対一様収束
Def(絶対一様収束)
S:集合, (M,∥⋅∥):ノルム空間,任意のn∈N>0に対してfn:S→Mとする.
この時∑∞n=1fn(x)が絶対一様収束するとは,
Sn(x):=∑nk=1∥fk(x)∥と定義した時に{Sn}∞n=1が一様収束することをいう.
2. 定理
2.1. 収束列の定数倍は収束列
(X,∥⋅∥)をK (R or C )上のノルム空間とする.この時{xn}n≥1⊂Xがxに収束するなら,任意のα∈Kに対して{αxn}n≥1はαxに収束する
Proof.
α=0の時は自明なので,α≠0に対して示す.任意のϵ>0に対して仮定より自然数Nが存在して,n>Nならば∥xn−x∥<ϵ|α|が成立する.よって
n>N⇒∥αxn−αx∥=|α|∥xn−x∥<ϵ
より成立.
2.2. 2つの収束列の和は収束列
(X,∥⋅∥)をK (R or C )上のノルム空間とする.この時{xn}n≥1⊂Xがxに収束し,{yn}n≥1⊂Xがyに収束するなら,{xn+yn}n≥1はx+yに収束する
2.3. 一様収束の同値条件
S:集合, (M,d):完備な距離空間, fn:S→M (n∈N>0)
この時以下は同値
(1)関数列{fn}は一様収束
(2)limn,m→∞d(fn(x),fm(x))=0
つまり,任意のϵ>0に対してN∈N>0が存在して
n,m>N,x∈S⇒d(fn(x),fm(x))<ϵ
証明の参考資料(日本語)
(Proof)
(1)=>(2)
任意のϵ>0を1つ固定する.{fn}はf:S→Mに一様収束しているとすると,N∈N>0が存在して
n>N,x∈S⇒d(fn(x),f(x))<ϵ2
が成立する.よって,
n,m>N,x∈S⇒d(fn(x),fm(x))≤d(fn(x),f(x))+d(f(x),fm(x))<ϵ
(2)=>(1)
仮定より任意のx∈Sに対して{fn(x)}はCauchy列であるので,Mの完備性よりfn(x)は収束する.よって関数f:S→Mを
f(x):=limn→∞fn(x)
によって定義する.
ここでϵ>0を任意に固定する.仮定よりN∈N>0が存在して
n,m>N,x∈S⇒d(fn(x),fm(x))<ϵ2
が成立する.ここで任意に自然数n>N,x∈Sをとるとfn(x)はf(x)に収束するので,
d(f(x),fm(x))<ϵ/2を満たす自然数m>Nが存在する.ゆえに
d(f(x),fn(x))≤d(f(x),fm(x))+d(fm(x),fn(x))<ϵ
2.4. Mテスト
S:集合, (M,∥⋅∥):Banach空間(完備なノルム空間), fn:S→M (n∈N>0)
任意のx∈Sと任意のn∈N>0に対して
∥fn(x)∥≤Mn
を満たす数列{Mn}∞n=1で無限級数∑∞n=1Mnが収束しているものが存在するとき,
∑∞n=1fn(x)は絶対一様収束する(特に一様収束もする)
(証明の方針)
Sn:=∑nk=1∥fk(x)∥と定義し一様収束の同値条件の(2)が成立することを示す.
(Proof)
ϵ>0を任意に固定する.∑∞n=1Mnが収束していることから特にCauchy列であるので,N∈N>0が存在して.
n>m>N⇒n∑k=m+1Mk<ϵ
が成立する.よって,n>m>N,x∈Sならば
|Sn−Sm|=∣∣
∣∣n∑k=m+1∥fk(x)∥∣∣
∣∣=n∑k=m+1∥fk(x)∥≤n∑k=m+1Mk<ϵ
よりSnは一様収束する.すなわち,∑∞n=1fn(x)は絶対一様収束する.
一様収束することは,
∥∥
∥∥n∑k=m+1fn(x)∥∥
∥∥≤n∑k=m+1∥fn(x)∥<ϵ
より自明(一様収束の同値条件を用いる).
2.5. 各点収束先と一様収束先は一致する
S:集合, (M,d):距離空間,任意のn∈N>0に対してfn:S→Mとする.
(1){fn}がf:S→Mに各点収束していて,
(2){fn}が一様収束しているならば,
{fn}はfに一様収束している.
(Proof)
{fn}が関数f′:S→Mに一様収束しているとしてする.
この時,f≠f′と仮定して矛盾を導く.
f≠f′とするとf(x0)≠f′(x0)となるx0∈Sが存在する.
この時,ϵ:=d(f(x0),f′(x0))>0と定義する.
{fn}はf′に一様収束しているので,N1∈N>0が存在して
n>N1⇒d(fn(x0),f′(x0))<ϵ2
が成立する.また,{fn}はfに各点収束しているので,N2∈N>0が存在して
n>N2⇒d(f(x0),fn(x0))<ϵ2
が成立する.よって,n>max{N1,N2}を満たす自然数nに対して
d(f(x0),f′(x0))≤d(f(x0),fn(x0))+d(fn(x0),f′(x0))<ϵ
が成立するがこれはϵ=d(f(x0),f′(x0))の定義に矛盾.
2.6. 点列と関数列の極限の交換の定理
Let (X,d1) be a metric space, (Y,d2) be a complete metric space, E⊂X and p∈E′, the set of limit points of E. Let f:E→Y, for each n∈N, fn:E→Y and assume that
(H1) limn→∞fn(t)=f(t) uniformly on E and
(H2) for each n∈N, limt→pfn(t)=An exists
Then
(a) limn→∞An=A exists and
(b)limt→pf(t)=A. That is, limt→plimn→∞fn(t)=limn→∞limt→pfn(t)
Proof (a)
AnがCauchy列であることを示せばYの完備性より収束することが示せるので,Cauchy列であることを示す.
任意のϵ>0を固定する.fnはfに一様収束するので自然数Nが存在してE上の任意の点tに対して
n>N⇒d2(fn(t),f(t))<ϵ4
を満たす.ここでNより大きい自然数n,mをとると(H2)の条件よりδ>0が存在して
d1(t,p)<δ⇒d2(fn(t),An)<ϵ4,d2(fm(t),Am)<ϵ4
pはEのlimit pointよりd1(t,p)<δを満たす点p∈Eが存在するのでそれを1つ固定すると
d2(An,Am)≤d2(An,fn(t))+d2(fn(t),f(t))+d2(f(t),fm(t))+d2(fm(t),Am)<ϵ
Proof (b)
任意のϵ>0を1つ固定する.条件(H1)より自然数N′が存在してE上の任意の点tに対して
n>N′⇒d2(fn(t),f(t))<ϵ3
を満たす.また(a)の結果より自然数N(>N′)が存在して
n>N⇒d2(An,A)<ϵ3
となる.n>N2(>N1)を満たす自然数nを1つ固定すると条件(H2)よりδ>0が存在して
d1(t,p)<δ⇒d2(fn(t),An)<ϵ3
を満たす.ゆえに
d1(t,p)<δ⇒d2(f(t),A)≤d2(f(t),fn(t))+d2(fn(t),An)+d2(An,A)<ϵ
2.7. 有限和と極限の交換
(X,∥⋅∥)をノルム空間, Iを有限集合,aij∈X(i∈I,j∈N>0)とする.
(H0)任意のi∈Iに対して∑∞j=1aijが収束するならば,
limm→∞(∑i∈I∑mj=1aij)は∑i∈I∑∞j=1aijに収束する
(Proof.)
Ai:=∑∞j=1aijと定義する.またIは空集合ではない(つまり0<|I|<∞)とする.
ϵ>0を任意にとる.Iは有限集合であることと条件(H0)を用いると,自然数Nが存在してm>Nならば任意のi∈Iに対して
∥∥
∥∥m∑j=1aij−Ai∥∥
∥∥<ϵ|I|
が成立する.ゆえにm>Nならば
∥∥
∥∥∑i∈Im∑j=1aij−∑i∈IAi∥∥
∥∥≤∑i∈I∥∥
∥∥m∑j=1aij−Ai∥∥
∥∥<ϵ
2.8. 有限和と無限和の交換
(X,∥⋅∥)をノルム空間,aij∈X(i∈{1,…,k},j∈N>0)とする.
任意のi∈{1,…,k}に対して∑∞j=1aijが収束するならば
k∑i=1∞∑j=1aij=∞∑j=1k∑i=1aij
が成立する.
(Proof)
ϵ>0を任意に固定する.
仮定より任意のi∈{1,…,k}に対して∑∞j=1aijは収束するので,自然数Nが存在し,任意のiに対して,
n>N⇒∥∥
∥∥∞∑j=1aij−n∑j=1aij∥∥
∥∥<ϵk
が成立する.よって,n>Nならば,
∥∥
∥∥n∑j=1k∑i=1aij−k∑i=1∞∑j=1aij∥∥
∥∥=k∑i=1∥∥
∥∥n∑j=1aij−∞∑j=1aij∥∥
∥∥<ϵ
2.9. 絶対収束するなら収束する
(X,∥⋅∥)をBanach空間(完備なノルム空間), 任意の自然数iに対してai∈Xとする.
この時∑∞i=1∥ai∥が収束するなら∑∞i=1aiも収束する.
(Proof.)
Sn:=∑ni=1aiとしてSnがCauchy列であることを示せばXの完備性よりSnが収束することを示せる.ϵ>0を任意に1つ固定する.∑∞i=1∥ai∥が収束するので∑ni=1∥ai∥はCauchy列でもある.よって自然数N>0が存在してN<m<nならば
∣∣
∣∣n∑i=1∥ai∥−m∑i=1∥ai∥∣∣
∣∣=∣∣
∣∣n∑i=m+1∥ai∥∣∣
∣∣=n∑i=m+1∥ai∥<ϵ
が成立する.よって
∥∥
∥∥n∑i=1ai−m∑i=1ai∥∥
∥∥=∥∥
∥∥n∑i=m+1ai∥∥
∥∥=n∑i=m+1∥ai∥<ϵ
よりSnはCauchy列であるので収束する
2.10. 無限和の交換
Interchanging the order of Summation
Let (X,∥⋅∥) be Banach space, ajk∈X (j,k∈N>0)
If ∑∞j=1∑∞k=1∥ajk∥<∞, then ∑∞j=1∑∞k=1ajk=∑∞k=1∑∞j=1ajk
The hypothesis really means that
for each j∈N>0,∑∞k=1∥ajk∥=Mj<∞ and ∑∞j=1Mj<∞
例えば,有限次元ベクトル空間は任意のノルムに対してBanach spaceになるので,
XとしてR,絶対値をノルムとすることで定理を用いることができる.
参考資料 英語)
(Proof)
方針:集合E,集積点p,関数fnを適切に定めて,点列と関数列の極限の交換の定理を用いる.
E:={1,12,13,…},p=0,任意のn,m∈N>0に対してtm=1m,fn:E→Xを
fn(tm):=n∑j=1m∑k=1ajk
と定義する.この時,fn(tm)が絶対収束(特に一様収束)することを示す.
任意のm,j∈N>0に対して
∥∥
∥∥m∑k=1ajk∥∥
∥∥≤m∑k=1∥ajk∥≤∞∑k=1∥ajk∥=Mj
であり,仮定より∑∞j=1Mjは収束するのでMテストよりfn(tm)は絶対収束する.
(fn(tm)=∑nj=1gj(m)と見なして定理を適用する)ので,特にfn(tm)は一様収束する.
また,任意のm∈N>0に対して,∥∥∑mk=1ajk∥∥≤Mjであり∑j=1Mjは収束するので,
絶対収束するなら収束するより∑∞j=1∑mk=1ajkは収束する.よって,f:E→Xを
f(tm):=∞∑j=1m∑k=1ajk
と定義することができる.
次にfnがfに各点収束することを示す.
任意のϵ>0とm∈N>0を固定する.関数fの定義よりN∈N>0が存在して,
n>N⇒∥∥
∥∥∞∑j=1m∑k=1ajk−n∑j=1m∑k=1ajk∥∥
∥∥<ϵ⇒∥f(tm)−fn(tm)∥<ϵ
より,fnはfに各点収束する.ゆえに,各点収束先と一様収束先は一致するよりfnはfに一様収束していることが分かる.
また,任意のj∈N>0に対して∑mk=1∥ajk∥≤Mj (∀m∈N>0)であるので上に有界.よって∑∞k=1∥∥ajk∥∥は収束するので,特に∑∞k=1ajkも収束する.よって,有限和と極限の交換より,
limm→∞fn(tm)=limm→∞(n∑j=1m∑k=1ajk)=n∑j=1∞∑k=1ajk=An
次にlimt→0fn(t)=Anであることを証明する.
任意にϵ>0を1つ固定する.limm→∞fn(tm)はAnに収束するので,自然数Nが存在して,
m>N⇒∥fn(tm)−An∥<ϵ
ここで
m>N⇔tm=1m<1N⇔tm∈{1N+1,1N+2,…}
であるので,δ=1Nとすると,
(t∈E)∧(|t|<δ)⇒t∈{1N+1,1N+2,…}⇒∥fn(t)−An∥<ϵ
より証明できた.
これまでの議論より(H1)fnはfに一様収束しており,(H2)limt→0fn(t)=Anが存在することから,点列と関数列の極限の交換の定理より,
limn→∞An=limn→∞(n∑j=1limm→∞(m∑k=1ajk))=limn→∞limm→∞n∑j=1m∑k=1ajk=A
が存在し,
limt→0f(t)=A
が成立,またlimm→∞f(tm)=Aである.実際,任意にϵ>0に対して,limt→0f(t)=Aであるので,正の数δ>0が存在して
t<δ⇒∥f(t)−A∥<ϵ
であり,自然数Nを1N<δを満たすように1つとると,
m>N⇒tm=1m<1N<δ⇒∥f(tm)−A∥<ϵ
また,
limm→∞f(tm)=limm→∞(∞∑j=1m∑k=1ajk)=limm→∞(limn→∞(n∑j=1m∑k=1ajk))=limm→∞limn→∞n∑j=1m∑k=1ajk
であるので
limm→∞limn→∞n∑j=1m∑k=1ajk=limn→∞limm→∞n∑j=1m∑k=1ajk
次に左辺と右辺を無限級数の形に変形する.
まず左辺について
任意のk,n∈N>0に対して,
n∑j=1∥ajk∥≤n∑j=1k∑ℓ=1∥ajℓ∥≤n∑j=1Mj≤∞∑j=1Mj<∞
であるので,任意のk∈N>0に対して,∑∞j=1∥ajk∥は有界であり上限に収束する.よって,∑∞j=1ajkも収束するので,
limm→∞limn→∞n∑j=1m∑k=1ajk=limm→∞limn→∞m∑k=1n∑j=1ajk=limm→∞m∑k=1∞∑j=1ajk=∞∑k=1∞∑j=1ajk
次に右辺について
任意のj∈N>0に対して∑∞k=1ajkも収束するのであったから,
limn→∞limm→∞n∑j=1m∑k=1ajk=limm→∞n∑j=1∞∑k=1ajk=∞∑j=1∞∑k=1ajk
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