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ノルム空間

1. 定義及び定理

1.1. Def(ノルム:norm)

ノルムを扱う際は基本的に体として実数もしくは複素数を用いるが,ここではより一般的にvalued field)を扱う.

Let be a valued field and be a vector space. Then A function is a norm iff for each and each , it satisfies;

  1. and ,
  2. ,

If the satisfies the above except , it is called seminorm.

参考資料1

1.2. Def(一様ノルム_上限ノルム)

Let be a set, be a normed space, be the set of bounded functions from to .

Then, becomes norm called the uniform norm, sup norm, supremum norm, Chebyshev norm, the infinity norm.

※付値(valuation)上のノルムでも成立

上記がノルムになることの証明は省略する(上限の定義に沿って行えばできる)

1.3. Def(商線形空間上のノルム:quotient_norm)

Let be a closed subspace of a normed space over a valued field , be a quotient space).

Then defines norm and called quotient norm.

Without closeness of , becomes seminorm.

(Proof)ノルムを定めることを示す.まず,の加法に関する単位元はであることに注意しておく.

ここでが閉集合のとき,であるならとなることを示す.ノルムの定義より任意の自然数に対して,を満たすが存在する.ゆえにに収束する.は閉集合であるのでの極限に含まれるので部分空間の定義よりに含まれる.ゆえに,となるのでである.

また,を満たしている時 でありの時も等式は成立する.

またの時の加法の演算をと表すと 残りは定義通り行えば出来るので省略

参考資料

1.4. ノルム空間の基本的な性質

Let be a normed space. Then below properties are satisfied.

  1. is closed set, where .

Remark

  • Any field can be applied.

(1の証明)を任意にとると定義より,もしくはである.の場合は,とするととなる.

1.5. ノルム空間には孤立点は存在しない

Let be a normed vector space over a field such that .

Then any point of is not an isolated point of .

が孤立点だと仮定して矛盾を導く.孤立点の定義より),開集合が存在してとなる.ゆえにが存在して, となる.ここでを任意に固定する.この時を満たすを任意にとるとであり,よりであるが,であるので矛盾.

1.6. 同値なノルムは同じ位相を定める

ベクトル空間上にノルムが定まっており,それらは同値であるとする.すなわち,が存在し,が成立する.この時2つのノルムは同じ位相(開集合系)を定める.

(Proof)

ノルムによって定まる位相を,中心半径の開球をと表記することにする.

とする.開集合の定義よりが存在し,となる.であるので,.同様の議論を行うことでを示せるので証明終了.

1.7. 同値なノルムは完備性を引き継ぐ

Let be a vector space and , are equivalent norms on .

If is complete, is also complete.

証明は簡単なので略

1.8. 連続同相写像による完備な空間の引き戻しは完備

Let and be metric spaces, let be a homeomorphism which is uniformly continuous, and suppose that is complete. Then is complete.

Corollary

Let and be metric spaces, let be a homeomorphism such that both and are uniformly continuous. Then is complete if and only if is complete.

(Proof)

上のCauchy列を任意にとる.の全単射性からを満たすが一意に定まる.この時はCauchy列である(以下証明)

任意にを固定する.はuniformly continuousであるのでが存在して が成立する.また,はCauchy列であるので自然数が存在して, が成立する.ゆえに となるのではCauchy列.

は完備であるのでは収束する.その収束先をとする.また,となるの収束先となっている(以下証明)

を固定する.で連続であるのでが存在して, となる.また,に収束するので自然数が存在して, ゆえに, よって,に収束するのでは完備である.

1.9. 完備な体上の有限次元ベクトル空間は最大値ノルムに関して完備である

Let be a finite-dimensional vector space over a valued field . For a basis of over , set where . This is a norm on , and if is complete with respect to then is complete with respect to .

(Proof)

上のノルムになることを簡単に示せるので証明は省略する.

上のCauchy列を任意にとる.ただし,とする.

この時,任意のに対して上の点列はCauchy列である.実際を任意にとるとはCauchy列であるので,が存在して, となるのではCauchy列である.また,はcompleteであるのでは収束する.その収束先をとする.この時に収束する.実際,を任意に固定すると,の収束性からが存在し,任意のに対して, が成立する.よって,の時, であるので,は収束する.ゆえには完備である.

1.10. 完備な体上の有限次元ベクトル空間のノルムは同値

Any two norms on a finite-dimensional vector apce over a complete valued field are equivalent.

(Proof)

下記の証明に出てくるvalued fieldはabsolute valueが定義されている体)のこと

p4 Theorem3.2

保存用 p4 Theorem3.2

1.11. 完備な体上の有限次元ベクトル空間は完備

Let be a complete valued field and be a finite-dimensional vector space over . Then is complete.

Let be a complete field equipped with a absolute value .

Let be a -dimensional vector space over a field .

の基底を1つ固定する.また,上の関数 と定義すると上のノルムになる(証明略)

同様に,上ベクトル空間上のという関数はノルムになる(証明略)

ここで,写像 と定義するとはlinear isometric bijectionとなる(証明略).また全射な等長写像の開集合の像と引き戻しは開集合であるので,はhomeomorphismである.また,はisometric bijectionであるので,もisometricであることは容易に示せる.さらに,isometricな関数はuniformly continuousであることも容易に示せるのではuniformly continuous homeomorphismである.また,は完備であるので(証明は最後),連続同相写像による完備な空間の引き戻しは完備よりは完備(complete)である.また,完備な体上の有限次元ベクトル空間のノルムは同値であり,同値なノルムは完備性を引き継ぐことからも完備である.

また,のCauchy列は収束列である.つまり完備(以下証明)

上のCauchy列を任意にとる.この時,任意のに対して上の点列はCauchy列である.実際を任意にとるとはCauchy列であるので,が存在して, となるのではCauchy列である.また,はcompleteであるのでは収束する.その収束先をとする.この時は$\boldsymbol{a} = (a_1, \dots ,a_n)^T$に収束する.実際,を任意に固定すると,の収束性からが存在し,任意のに対して, が成立する.よって,の時, であるので,は収束する.ゆえには完備である.

1.12. 完備な体上のベクトル空間の有限次元の部分空間は閉集合

Let be a normed vector space over a complete valued field.

Then any linear subspace is a closed set.

(Proof)

距離空間においては集合内の収束列が集合内に収束することと閉集合であることは同値なのでこれを示す.有限次元の部分空間は1次独立な有限個のベクトルの線形結合で表されるので,と表すことにする.収束列を任意にとる.(収束先をとする)距離空間ではCauchy列は収束列であるから上のCauchy列となる.また,は有限次元ベクトル空間であるので,完備な体上の有限次元ベクトル空間は完備よりに制限した上のノルムにおいて,点に収束する.収束先の一意性よりとなるのでは閉集合である.

1.13. Tube_Lemma

Let be topological spaces and is product spaces. Let be compact subset of , respectively. If is an open set containing , then there exists open sets such that .

に対して以下の操作を行う.

[の時]

直積集合の定義より,任意のに対して開集合が存在して,,が成立する.

また,の操作が終了した時点で以下が成立することに留意する.

  • (条件1)任意のに対して

  • (条件2) 任意のと任意のに対して は開集合

  • (条件3)任意のに対して

[の時(についての操作は終了している)]

任意にを固定する.この時の際の(条件1)より の開被覆となる.のコンパクト性より,有限集合が存在し, となる.ここでに対して, と定義するとの際の(条件1)を用いると,任意のに対して が成立するのでの際も(条件1)が成立.また,が有限集合であることと,の際の(条件2)を用いるとの時にも(条件2)が成立することが分かる.

また,任意にをとると,であるので,が存在して,が成立する.よって,

の定義よりである.よって,の際の(条件3)よりであるのでの時も(条件3)が成立する.

まで操作が終了した時点で, でありが開集合であるので証明終了.

1.14. 完備全有界なK^nにおけるコンパクトと有界閉集合の同値性

Let be a complete valued field which satisfies that every bounded subset is totally bounded.

Let be normed space. Then, any subset of is compact if and only if it is is closed and bounde.

証明のためにいくつかの補題を証明する.


(補題1)任意のに対して上の閉球を考えるとは閉集合である.


閉集合でないとすると,のlimit pointであってに含まれないものが存在するので,それをとする.この時であるので,と定義できる.また,limit pointの定義より,任意の自然数に対してを満たすが存在する.ここで,を満たすを1つ固定すると, よりとなる.これはに矛盾.


(補題2)任意のに対して上の閉球を考えるとはコンパクトである.


は定義よりboundedであり,問題文の仮定よりtotally boundedとなる.よって,とすると,はCauchy部分列を持つ.は完備であるので上に収束点を持つが,補題1よりは閉集合であるので収束点は上にある.よって点列コンパクトとなるので(この定理より),コンパクトである.


(補題3)上のという関数はノルムになる(証明略)また,によって誘導される位相を,直積位相をとするとである.


を任意にとると,ノルムに誘導される位相の定義よりが存在して, が成立する.また, と定義すると, となるので,が成立.逆も容易に示せる(証明略)


距離空間上のコンパクト集合は有界閉集合であるので,有界閉集合ならばコンパクトであることのみを示す.において有界閉集合を任意にとる.の定義よりが存在して任意のに対してが成立することに注意する.

また,任意のに対して射影を定義するとは閉集合である.


から誘導される位相において閉集合であるので,(補題3)より直積位相でも閉集合である.は閉集合であることの証明中ではには直積位相が入っていると考える.

とすると, である.実際,空集合でないとするとの元で番目の要素がであるものが存在するので,となり矛盾する.上式より, が成立する.ここで,(補題2)よりはコンパクトであるので,Tube_Lemmaより上の開集合が存在して, が成立する.(となっていることに注意)

この時,である.

実際,空集合でないとすると,であるので に含まれるの元が存在することになるが, であるので矛盾.

ゆえに,となるので,は開集合となり,は閉集合


ここで,上の点列 を任意にとる.と表記することにする.また,収束するの部分列の存在を示すために,番目の要素から番目の要素まで順に部分列をとって,収束させることにする.具体的には初期値をとしてまで次の操作を繰り返す.以後,と表記することにする.

点列を考える.は有界であるので問題文の仮定より全有界.よって,はCauchy部分列を持つ.また,は完備なのでの部分列に収束する.ここで,の部分列において,ならばに収束することが分かる.

よっての操作が終わった時に,,と定義すると, の部分列に収束することが分かる.は閉集合であるのでとなる.ゆえには点列コンパクトであるのでコンパクト.また,この証明ではノルムが入っている考えて証明したが,完備な体上の有限次元ベクトル空間のノルムは同値であり,同値なノルムは同じ位相を定めるので任意のノルムに関してもコンパクトである.

1.15. 完備全有界な体におけるコンパクトと有界閉集合の同値性

Let be a complete valued field which satisfies that every bounded subset is totally bounded.

Then any subset of finite dimensional normed space over is compact if and only if is closed and bounded.

Remark

がコンパクトなら有界閉集合であることは別定理から示す事ができる(距離空間上のコンパクト集合は有界閉集合)ので逆のみを示す.

の次元とすると同型写像(isomorphism)が存在する(証明略).また,上の関数をと定義すると上のノルムとなる(証明略).

また,は等長写像isometoryとなる.また全射な等長写像の開集合の像と引き戻しは開集合であるのでは位相同型homeomorphism.

ここで,がclosedかつboundedとする.は位相同型であるので,も(のノルムに誘導される位相で)closedである.またが等長写像であるのでもboundedである.K^n上では有界閉集合とコンパクトは同値であったので(証明が一番大変),はコンパクトである.また,全射かつ連続関数のcompact集合の像はcompactであるのではcompact.

1.16. 有界閉集合だがコンパクトでない例

Let be infinite set, and be a discrete metric space). Then is closed and bounded but not compact.

(proof)が有界閉集合であることは自明なのでコンパクトでないことのみ示す.ここで中心半径の開球をで表すことにするとの開被覆である.一方でであるのでの任意の有限部分集合の要素数は有限であるのでの被覆とならない.ゆえにはコンパクトでない.

Let be the real continuous function defined on the interval endowed with the sup norm .

Then the close ball centered at with radius , denoted by , is not compact where is the zero function whose value is zero for every element in its domain.

(Proof)連続関数によるコンパクト集合の像はコンパクト集合なので, ならばはコンパクトである.特に有界閉集合であるのでの任意の関数は有界.ゆえに問題文中の一様ノルム)はノルムを定めることに注意する.

任意の自然数に対して区分線形写像を以下で定める. つまり,は以下の点を結んだ折れ線である

この時,よりでありならばであるのでの台(supports)(つまりであるの集合)は互いに素であるので.

ここで,の開被覆を考える.ただし,任意の, に対して,は中心,半径の開球を表す.

この時,任意のに対して, である.ゆえに,を高々1つ含むので,開被覆の有限個の部分集合族は高々有限個のを含むことになるのでコンパクトではない.

参考資料

1.17. 有限次元ノルム空間と閉球のコンパクト性の同値性

証明(未読)

Last modified by akirat1993 2019-09-14 13:25:07
Created by akirat1993 2019-06-05 12:08:47

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