1. simplex_method(シンプレックス法)

1.1. 冗長な制約式の除去

,とし

と表されるとする。と定義した時から一次独立な個のベクトルを選び

とおくと、が空集合でないならば

(proof)

は一次独立な行ベクトルの最大個数と同じであるので、から一次独立な個のベクトルをとることが出来る(具体的には追加した時に一次従属になるまで好きな順番からベクトルを取れば良い)

任意のに対してに加えると一次従属になるので、 を満たす定数が存在する。

仮定よりが空集合でないので、そこから1つ元をとる。この時、集合の定義より任意のに対してが成立するので、 ここまでが証明の準備で、最終的に示したいことは以下である。

が任意のに対してとなるならば、任意のに対してである。

この事を式変形により示す。 証明は以上で終了。ちなみに、が空集合の時は等式が成立しない。実際を正則行列, とおくとは空集合だが、は空集合でない。

1.2. 端点を持つことと直線を持たないことの同値性

Let be a finite-dimensional Hilbert space over , and be a non-empty closed convex set. Then, has an extreme point iff does not contain line.

(proof)

()が端点を持つ時に直線を含まないことを背理法を用いて示す.が直線を含むとすると,が存在してが成立する.任意の自然数に対して と定義するとである.また,の凸性よりでありは閉集合であるのでである.同様の議論を行うことでが示される.ゆえに となるがは端点なのでもしくはが成立するがどちらの場合でも簡単な計算からとなるので矛盾.

()が直線を持たない時に端点を持つことを示す.の次元に関する帰納法で示す.次元の場合はであるのでゼロベクトルの端点を持つ.次元()で成立していると仮定して,次元の場合を考える.もしくは上のノルム空間は弧状連結であるので特に連結である(証明略).また,連結である位相空間の空でない真部分集合は境界をもつのでの境界は空でない.今の境界から元を任意にとる.超平面分離定理よりが存在して,と定義すると,任意のに対して,を満たす.また,と定義すると超平面の同値条件よりは超平面である.超平面の定義より次元のの部分空間が存在してと表せる.の部分空間は有限次元であるので,完備な体上の有限次元ベクトル空間は完備という定理を用いることでも完備であることがわかり,次元のヒルベルト空間である.

この時,は端点を持つ.


実際,と定義するとであるので であるので,も空集合でない.次元のヒルベルト空間上で閉集合かつ凸集合であり直線を含まないので帰納法の仮定から上で端点を持つ.ゆえにであるのでは端点を持つ.


の端点を任意に1つ選びとおき,これがの端点であることを示す.今が存在してと表されたとする.

この時 この時,の端点だったのでのどちらもの元だとすると,端点の定義よりとなるので証明終了.よって,と仮定する.この時,超平面の定義よりであるので,上の等式を満たすにはとなる.ゆえにとなるのでの端点となる.

参考資料

1.3. 線形最適化の最適解は端点である

Let be a finite-dimensional Hilbert space over , . Let , and consider LP:. If has an extreme point, and the LP has an optimal solution, then the LP has an optimal solution which is an extreme point in .

Corollary:

Let ,, , , and consider the LP;. If LP has an optimal solution, then the LP has an optimal solution which is an extreme point in .

(proof)を最適値,を最適解とするとと表すことができる.閉半区間は閉集合かつ凸集合であるので,その有限個の共通部分であるを閉集合かつ凸集合である.また,最適解を持つことからは空集合でないので端点を持つことと直線を持たないことの同値条件よりは直線を持たない.ゆえに,その部分集合であるも直線を持たない.再び端点を持つことと直線を持たないことの同値条件を用いることでは端点を持つ.の端点の任意に1つ選びとした時にの端点となることを示す.が存在してと表せたとすると以下を満たす. とするとの端点であるのでもしくはとなり証明が終了するのでとする.この時,, となるので等式を満たすにはとなるのでが成立.ゆえには端点となる.

Corollaryについては により,端点を持つことと直線を持たないことの同値条件よりは端点を持つので,上記の定理が使えて最適解を持つなら端点であることが分かる.

参考資料

1.4. 定式化

LP-problem in canonical form where with and rank .

1.5. 定義

  • : feasible solutions to an LP problem

  • rankであるので,適切に並び変えることでとすることができる. この時 となるbasicと呼ばれる.さらにを満たす時basic feasible solutionと呼ばれる.また,basis variables,non-basic variablesと呼ぶ.

    の並び替え方はあるので basic feasible solutionは最大でその個数分ある.

1.6. 定理

1.6.1. 定理2_3端点と一時従属の同値条件

Suppose that and there exists such that . Then, the columns of are linearly dependent if and only if is not an extreme point in .

(proof)()が一次従属(linearly dependent)というのとを満たすが存在することは必要十分であるので,そのようなを1つ固定する.この時,任意の正の数に対して が成立する.であるのでを十分小さくとれば,とすることができ,さらにが成立する.ゆえに, であるのでは端点(extreme point)ではない.

()逆にが端点でないとしたらを満たすものが存在する.この時, であるので,となる.ゆえに でありであるのではlinearly dependent

1.6.2. 端点はbasic_feasible_solution

(Proof)LPの実行可能解の端点をとすると定理2_3より高々個の要素が非ゼロ要素となり対応する列ベクトルは1次独立となる.この時,LPのの列,を並び替えることによって非ゼロ要素を, が一次独立である.また以下よりのいくつかの列を追加することでが一次独立であるようにできるので,そのように並びかえたを考える.この時と表記すると を満たすが可逆であることから一意に定まる.一方はLPの実行可能解であることからを満たす.よって,.ゆえにはbasic feasible solutionである.

1.7. 参考文献

メイン, リンク切れ用

Last modified by akirat1993 2020-01-09 20:50:39
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